東京Vゴール裏で怒号・罵声 OB近藤直也氏が連続投稿「選手とサポーターを分断するところまでいったら…」
東京ヴェルディの試合後に起きたゴール裏での一幕をめぐり、クラブOBの近藤直也氏がXで相次いで自身の考えを発信し、注目を集めている。
東京Vは9月29日、YBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦でサガン鳥栖と対戦。
後半に先制を許した後、藤本寛也のゴールで追いついたものの、延長後半に塩浜遼にこの日2点目となるゴールを奪われ、1-2で敗れた。
Football Tribeは試合後、東京Vのゴール裏から選手や関係者に対して怒号、罵声、ブーイングが浴びせられたと報じた。
チームが苦しい状況にある中で起きた、選手とサポーターの感情のぶつかり合い。
この状況について、自身も東京Vでプレーした近藤直也氏がXで問題提起している。
「負けることに慣れてしまったチームが急に勝負強いチームにはならない」
近藤氏は試合翌日の9月30日、まず「負け癖」について長文を投稿した。
現役時代に2度のJ2降格を経験した近藤氏は、降格するチームがシーズン途中から突然弱くなるわけではないと説明。
敗戦直後は全員が本気で悔しがっていても、勝てない試合が続くことで、少しずつ敗戦への違和感が薄れていくことが怖いとした。
「内容は悪くなかった」「相手が良かった」「まだシーズン序盤だから」「次に切り替えよう」といった言葉も、積み重なれば負けを正当化する言葉になりかねないという。
そして、
「負けることに慣れてしまったチームが急に勝負強いチームにはならない」
として、順位が本当に危なくなってから危機感を持つのでは遅いと、自身の降格経験をもとに警鐘を鳴らした。
この投稿は32万回以上表示され、2,300件を超える「いいね」、900件のリポストを記録するなど大きな反響を集めた。
ゴール裏の怒声に「サポーターの気持ちはすごくわかる」
そして10月2日、近藤氏は改めて「試合後のゴール裏での挨拶」について投稿した。
現役時代にも、敗戦が続く中でゴール裏から怒声が飛び交う光景を何度も経験してきたという。
時間とお金を使ってスタジアムを訪れ、声が枯れるまで応援しても勝てない。
そうした状況で腹が立ち、「もっとやれ」と言いたくなるサポーターの気持ちについて、近藤氏は「すごくわかる」と理解を示した。
一方で、選手も負けるために試合をしているわけではないと指摘。
勝てない状況が続けば自信を失い、思い切ったプレーができなくなり、ミスを恐れるようになって、さらに結果が出なくなる――。
そうしてチーム全体が「負のループ」に入っていくと説明した。
「簡単には消えない禍根が残ってしまうことがある」
近藤氏が特に危惧したのが、苦しい状況で選手とサポーターが何度も感情をぶつけ合うことだった。
選手側には「何をしても認めてもらえない」という感情が生まれ、サポーター側には「自分たちの気持ちを選手はわかっていない」という感情が生まれる。
それが繰り返されることで少しずつ距離ができ、
「簡単には消えない禍根が残ってしまうことがある」
とした。
ただし、近藤氏はブーイングや厳しい声そのものを否定しているわけではない。
不甲斐ない試合ならブーイングが起きたり、厳しい言葉が飛んだりすることもあるとした上で、それが「選手とサポーターを分断するところまでいってしまったら誰にとってもプラスにはならない」と訴えた。
この投稿も26万回以上表示され、2,100件を超える「いいね」、700件以上のリポストを集めた。
さらに翌日「一緒に乗り越える」の具体論へ
反響が広がる中、近藤氏は10月3日にもXを更新。
「一緒に乗り越えよう」という言葉だけでは抽象的だとして、さらに踏み込んだ考えを示した。
まずクラブや選手側については、苦しい状況から逃げず、現在何が起きていて、自分たちはどうしようとしているのかを、可能な範囲で自分たちの言葉で伝えることが必要だとした。
一方、サポーターに対しても「負けているのに拍手をする」「批判をやめる」という意味ではないと説明。
ブーイングや「もっとやれ」という厳しい声があってもいいとしながら、選手の人格を否定したり、「やる気がない」「戦っていない」と決めつけたりして、互いを敵だと思うところまで進んでしまえば状況はさらに悪化するとした。
近藤氏が示したのは、
「厳しいことを言い合いながらも関係を切らない」
という考え方だった。
クラブは説明から逃げない。
選手はピッチと自分たちの言葉で示す。
サポーターは厳しい声を上げながらも、最後までクラブを見放さない。
近藤氏は、これが唯一の正解だとはしていないものの、苦しい状況だからこそ「サポーターはどうすべきか」「選手はどうすべきか」と一方だけに求めるのではなく、それぞれが何をできるのかを考えることが大切ではないかと投げかけている。
敗戦後のゴール裏で飛んだ怒号やブーイング。
そこから始まった近藤氏の問題提起は、「応援する側」と「プレーする側」が、勝てない時にどう向き合うべきなのかというテーマへ広がっている。